「どうやって?」

「嫌がってるのを無理矢理、使い魔にするのはけっこう大変で、荒っぽいことしないといけないんだけど、この子は簡単よー。自分から使い魔に志願して、ここまで付いてきてるぐらいだもの」

 黒猫は同意するみたいに、ニャアと鳴いた。

「『自分の使い魔になるか』って尋ねてみれば?」

 へっ、たったそれだけ?

 私は黒猫の目を見た。黒猫も私の目を見返してきた。

 ええっと…

「黒猫ちゃん、私、小山ツムギの使い魔になりますか?」

「ふふん、もちろん。なるわ」

 黒猫が答えた。高い、小さな声だった。

「わっ! しゃべった!!」

「ようやく私に話しかけてくれたのね。でも、『黒猫ちゃん』なんて呼び方は嫌だわ。可愛い名前をちょうだい」

「えっと…ショコラ?」

「うーん、どうして人間って、動物に食べ物の名前を付けたがるのかしらねぇ。まぁ、でも、それでいいわ。よろしくね、ツムギ」