ドアを開ける音に続いて、たんたん。と、独特のゆったりした靴音が頭上から降ってきた。 今日は俺が見上げる番だ。 「…あ。」 気がついて、階段の中程で足を止めたのは、びっくりした表情の秋野だ。 そのまま、固まっている。 「仕事は、順調だったか?」 探るように当たり障りのない話しか出来ない自分に苦笑いした。 「あ…、はい。えっと…」 そこで言葉を切って、当惑顔で俺を見下ろした。 .