第四章 幸せだからこんなにも不安になる




胸にいつまで経っても消えない不安を抱えながらも、私達の夫婦生活は怖い位順調で幸せだった。

三月、四月と季節は流れて、三月のホワイトディーに海鳳は下手くそなトリュフのお返しと言って可愛いハートのネックレスを買ってきてくれた。

四月になったら桜が咲き乱れる道をお花見して、小さな行事の一つ一つを大事にしてくれた。

少しでも休みが取れたら、二人で何気ないお出掛けをした。  その時、海鳳は必ず私に欲しい物を聞いてくれた。

だから、私の中で大切な物が一つ一つ増えていくのだ。 海鳳から貰うものであればゴミでも嬉しい私は、どんなに細かい物でも大切に取っておいた。

その間アイリーンの占いに指名が入る事はなかった。

いつだって私を優先に考えてくれる。 だからこんなの仮面夫婦だって言ったって周りは信じたりしないだろう。

私達の余りの仲の良さに幕原病院のスタッフ達からはいつも甘いため息が漏れた。