第二章 ラスベガスの夜に奇跡を




話は私達が建前上の結婚をする前の春に戻る。

まだ行動を起こすべきじゃない。ご利用は計画的に、何事にも順序をちゃんと踏めば望んでいる結果が返ってくる。 そう思い始めて四年の月日が経過しようとしていた。

数回きりの使い捨ての女になりたくない。彼の望む物をサーチして、彼に必要と思ってもらえる存在になりたい。

突然幼い頃に一度会った事があるって暴露して告白までしちゃって、玉砕しちゃったら目も充てられない。

「はぁ~…どうしたらいいのかね」

「わざとらしくため息吐かないでよ。 一応私これでも仕事中なんだからね」

今私がいる場所は新宿の路地裏の不気味なビルの一角で、明らかに妖しい紫看板があって「占」と書かれている。

「仕事って言ったってさ、相変わらずお客さんなんて全然来ないじゃん……
まあ、占い師なんて詐欺師に似たようなものだよね」

明らかに妖しい内装。入り口には黒い分厚いカーテンがかかっていて
壁には更に怪しい呪文のような模様。 ここの内装を考えた人のセンスを正直疑う。
私の言葉に西松 愛莉は少し気を悪くしたようで、むぅっと眉をしかめる。