ケータイ小説 野いちご

迷いの森の仮面夫婦

第一章 初恋の人と結婚する確率


第一章 初恋の人と結婚する確率




’初恋は実らない’それはよく聞く言葉だ。

実際に幼い頃に初めて恋をして、そのまま大人になって結婚というゴールインにたどり着くのは至難の業だと思う。

だからこそ初恋という言葉は甘美で儚い。

私、成瀬(ナルセ) 雪穂(ユキホ)の初恋もまた五歳という記憶も曖昧な幼い頃だった。

父親がサラリーマンの中流家庭で普通に育った私が、母の手を引かれてやってきたのは閑静な住宅街の中で小高い丘の上に建っていた洋館造りの真っ白なお家だった。

’まるで童話の中に出て来る王子様が住んでいるお城みたい…’
幼心にそう思ったその家は、都内で早乙女(サオトメ)クリニックを営む院長のご自慢の自宅だったらしい。

外観は四本の柱が印象的なシンメトリーのシルエットに、玄関と繋がった屋根付きテラスに白い格子窓が印象的な洋館スタイル。

室内も天然石や木材をふんだんに取り入れた、総タイル貼りがクラシカルな内装になっている。

その中でも幼い私が一番感動したのが、大きく広いのに手入れが行き届いている緑溢れるお庭だった。

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