───がらり。
5限目の授業が終わり、先生と入れ替わるように入って来たのは、音怜くん。
「ようっ、音怜ー」
「また、サボり? 卒業できなくなるぞっー、あははっ」
「音怜く~ん、お菓子あるよ~、食べる?」
だ、男女関係なく人気あるんだなー、音怜くんって…………。
そう思っていると───。
音怜くんはポッキーを1本もらって、自分の席ではない方向に歩き出した。
え? こ、こっちに来る………!
ドキドキと、心臓の音が速くなる。
「ん」と、気だるそうに渡されたのは、お弁当箱の包みだった。
「自分のものなのに、忘れててさ、ほんと川高って幼稚」
「………あっ──、それ、持ってきてくれたんですか?」
「はっ?」
「ありがとう! 音怜くんって本当は優しいんですね!」
すると、何故か顔をちょっと赤らめる音怜くん。
「………」
「あれ? どうしたのですか?」
「な、なんでもないー」
彼は、そう言葉を残してさっさと自分の机に向かっていった。
…………なんか、変な音怜くん。