コトコトと大根を煮込み一口サイズの油揚げを入れ味噌をとかす。ふわっと広がる温かな味噌の匂いが鼻からスゥっと抜けていった。


(うん、これで朝ごはんと夜ご飯用のお味噌汁は完成です)


 昨日は雷斗くんの夜ご飯の用意するのを忘れるという大失態をしてしまったので、今日からはちゃんと朝のうちに準備しておこうとほんの少し早起きをした。夜ご飯ように豚の生姜焼きを作っておく。お肉に片栗粉をまぶしておくとお肉が固くならなくて時間がたっても食べやすい。


「もう食材が無くなってきっちゃったな」


 雷斗くんの家に引っ越してきた初日に買った食材はその場しのぎの買い物だったため冷蔵庫のなかは少なくなっていた。


(今日バイト終わりにスーパーによって帰ろう)


 この前行ったスーパーは高すぎて私には買えないけど少し自転車を走らせれば安い普通のスーパーがあったはずだ。今日はそこにしようと考えながらお肉を焼く。


「それにしても昨日の雷斗くんなんか変だったな……」


 一人でお風呂に入ると言っていたけどどうしても気になって浴室のドア越しに「背中とかは大丈夫ですか?」って聞いてみたら「あーじゃあ背中と髪の毛だけ流してもらえる?」となにも意地悪なことは言われず、なんだか弟たちの髪を流してあげているような感じで終わった。


「あの雷斗くんが静かだなんて、なんだかやっぱり変なきがする……」


「俺がなんだって?」


「いや、なんか雷斗くんの様子が変だなって……ひゃあ!? らららら雷斗くん! おはようございますッ」


 スッと背後に現れていた雷斗くんに全く気づいていませんでした。盛大な独り言を聞かれてしまったかも。