学校までの道のり。雷斗くんの右側を歩こうとしたら「右側は腕が当たるからこっち側歩け」と言われ左側を歩くことに。世で言う女の子は車道側を歩かせないというやつではないかと思ったけれど多分違うと思う。だって私にそんな気を使うことないのですから!


 なんだかんだで歩いて十五分程で学校に着いた。


 着いたのはいいのだけれど……えっと、これはとても大変な事になってしまったのではないでしょうか!?


「雷斗! その怪我どうしたの!?」
「え、なに雷斗腕折れちゃった系〜?」
「え〜じゃああたしが右腕になってあげるぅ」


 確実にスクールカースト上位の明るい男女が一斉に雷斗くんの周りに集まってきた。私は自分の存在がバレないよう息を潜めて静かにその場を離れようと鞄を胸に抱き前かがみになる。


「ああ、実は昨日ちょっと転んじゃってね。でも大丈夫。俺のお世話は彼女がしてくれるから」


 逃げ出そうとした瞬間肩を引き戻されピッタリと雷斗くんに抱き寄せられる。


(ななななな何事ですかぁぁぁぁぁっ!!!)


 痛いほどの視線が私に突き刺さる。勘弁してくださいぃぃいいい。