私の一歩前を雷斗くんが走っている。その背中をはぁはぁ息を上げて追いかけた。


「まって……はぁはぁ、待ってくださいいぃぃ」


「だからタクろうって言っただろ。急がないと遅刻すんぞ!」


「だって、もっ、勿体無いじゃないですか……はぁはぁ、も、無理……元はと言えば雷斗くんのせいなんですからねぇぇぇっ!」


 あんなにたくさんキスして! 腰が蕩けてしまうかと思うくらい甘くてやさしいキスを繰り返すものだから。何時の間にかかなりの時間が経っていたみたいで今に至る。


「分かった、分かった。ごめんって。ほら行くぞ」


 へろへろになっている私の手を取り走り出す。いつもこの手が差し伸べられて私を助けてくれた。私を導いてくれた。


 それが嬉しくて感謝してもしきれなくて、そしてこれからは私も雷斗くんの横に並んで彼を支えていきたい。ギュッと握り返して雷斗くんの隣に並ぶように走った。


「羽花、大丈夫か? もうつくぞ」


「は、はひぃ。大丈夫です〜、はぁはぁ」


 そのまま勢いよく校門を通り抜ける。


「はぁはぁ、間に合いましたね」


「だな、明日からは気をつけないとな」


「ほ、本当ですーー」


 漫画に出てくるようなドドドドドという効果音とともに大勢の女子の大群が波寄せてきた。


(な、なにごとですかぁぁぁ!?)