一つも濁りのないあどけない寝顔。横を向いて寝ているからか前髪がたらんと目に掛かっている。そっと目にかかっている前髪を掻き上げ彼女の寝顔を堪能する。


 ほんの少し羽花の世界を広げる手伝いをするつもりだった。それなのに彼女はどんどんと自分の世界を取り戻すかのように急成長し、世界が広がり、俺が驚くくらいに綺麗になった。


 俺の予想をはるかに超える成長っぷりに怖いくらい、羽ばたいてどこかに飛んで行ってしまうんじゃないかと不安にさえなる。


 それほど今の羽花は強く、優しく、綺麗だ。


 どうか俺の腕のなかから羽ばたいていかないでくれ……そう思いながら微睡む瞼をゆくり閉じた。