精神科の診察が終わると、宏貴は看護師に呼ばれ病室に入った。
恵理から、宏貴も事情を知っていることを伝えられたのだろう、看護師は躊躇なく二人の前で説明をした。

「1階で会計を済ませて、次回の診療予約を入れてから帰宅してください。お薬は隣の薬局でもらえますから、この処方箋を持って行ってください。診療予約は精神科と産婦人科の2科でとってくださいね。その時に診察券も発行されますから。」
返事ができない恵理にかわり、宏貴が返事を返し、看護師に頭を下げてお礼を伝える。

「お大事になさってください。」
看護師が病室を出てから、二人は無言のまま、支度をして病室を出た。

まだ足元に不安が残る恵理の肩を抱くようにして支えながら宏貴が病院の会計や次回の診療予約を入れてくれる。


マンションへの帰り道も宏貴は恵理を支えたまま、離れない。