私の存在を証明する唯一無二の物が、今この瞬間に消滅したという事実は今の私には理解したくとも出来なかった。


だけども体は本能のまま、全身から冷や汗を垂れ流し身体の正常を保とうと必死だ。


先程まで浮かべていたドヤ顔をどう戻せばいいのか分からないまま、格好がつかないまま二人からの視線を受け続けた。


どうしよう……これ、本当にどうしたら?!


クリスタルが壊れてしまった上に、落ちこぼれなせいで堂々と胸を張って聖女ですとも名乗れない。


それはつまり魔物であるという疑いを晴らせず、私の首が今日ここで飛ぶ……。



「私は魔物じゃないです!信じてください!!」



またしても本能が体を動かしてくれたお陰で、ようやく落ちたクリスタルを拾ってその場でしゃがみ込んだ。


欠けた破片は持っていた輝きを失い、ただの鉄鉱石のように濁り冷たい。


代々受け継がれる神聖なクリスタルが、壊れました!てへ!とちゃらんぽらんな私のせいで、壊れてしまうことを先代達は予想もしていなかっただろうに。


クリスタルが壊れてしまった悲しみと、自分への不甲斐なさに押しつぶされそうになりながらも涙だけは必死に堪えた。