やってくる痛みの代わりに何かが私を受け止めたようなちょっとした衝撃があった後、低い声が耳元で聞こえた。


何が起こったのか状況を把握しようと、恐る恐る目を開ければ、先程思わず見惚れてしまった綺麗なアイアンブルーの髪が視界を蒼く染めた。


助かったのだとほっと胸を撫で下ろすと、腕の中にいた子ドラゴンが無事ではあったものの、突然の出来事に体を小さく震わせている。


子ドラゴンを落ち着かせるように撫で、すぐ目の前にある整った顔がやけに眉間にしわを寄せているとなと思ったのと同時に、胴体に回されたその強い腕を見て抱きとめられたのだと理解した。


近くで見れば見るほど長い睫毛に羨ましいとまで思ってしまうほど、距離がこんなにも近くて少しドキドキする。


って!!彼を下敷きにして自分だけ無傷とか!ちょっとこれ笑えない状況!!


妙にドキドキしてる場合じゃないと、すぐさま男性の腕から抜け出し、一度子ドラゴンを私の足元に降ろすと、地面に倒れ込む男性の肩を少し揺らす。


「ごっ、ごめんなさい!私のせいで……!」


「け……怪我はない、か」


「私は大丈夫ですから!貴方の方が怪我してるじゃないですか!」


親ドラゴンと戦闘した時だろうか、腕に微かなかすり傷を負っている。