「ふたりとも、ほんっと助かった!
今日はほんとにありがと!」


「遥、暴走しないか内心ヒヤヒヤしてたわ」


「うるせーよ」


それから撮影を終えた遥と私は、着替えてそのまま帰らせてもらうことになった。


「ふたりとも、ほんとによかったよ!
胡桃ちゃん、芸能界にくるの、いつでも待ってるから!」


「あ、ありがとうございました……」


監督さんにも花丸をいただいて、なんとか無事に終わった。


いろいろあったけど、なんとか乗り切れてよかった……。


「もう時間も遅いし、近くの旅館に部屋とったから、ふたりともそこに泊まっていきな」


「えっ!?
で、でも……っ」


「ふたりの時間割いちゃったし、俺からのお礼とお詫び。明日迎えにくるから」


学校から直で来たけれど、たしかに撮影場所はだいぶ遠かった。


桃華たちがホテルにとまって撮影してるのも、十分納得したくらい。


「せっかくだし、とまるか」

「うん……」


それから車にのって少しして着いたのは、とても大きな旅館。


おっ、おっきい……。


見上げるほど高い和風の建物。


ほんのり明るいライトでライトアップされた木々がとってもきれい。


聞けば各部屋についてる露天風呂が有名な温泉らしくて、いつも人気なのだとか。


「俺の名前で予約してあるから、フロントでそう言って。着替えは申し訳ないけど、たしかコインランドリーとかあったはず」


「分かった」


「胡桃ちゃんも、遥も、今日はありがとうな。
ゆっくり休んで」


それだけ言うと清見さんはまた車を走らせていった。