結局流されてしまった……。

 ギンさん――いや、ギンと一緒に階段を下りながら自責の念にかられる。


 流されちゃだめだと思ったはずなのに、最後にはキスを受け入れてしまっていた。

 だいたい、キスがうますぎるのが悪い。

 あの苦しい毒のようなキスは何だったのかと思うほど、ギンのキスは甘くて気持ちよくて……心も意識もとろけさせてしまう。


 あんなの抵抗できるわけないじゃない!


 思い出して顔が熱くなりそうだったから、悪態をつくように心の中で叫んだ。

 自分ではどうにもできない羞恥に耐えるため、全部ギンのせいだと言い聞かせるように思いながらわたしはギンと一緒にリビングに入った。


 まず目に入ったのは左側のPCやいくつもの画面。

 その前には昨日と変わらず三つ子がキーボードを打ち込んでいる姿がある。


 この3人はちゃんと寝ているんだろうか?

 そう思ってしまうのは服装も昨日と同じだったからだ。


 そしてもう1人、颯介さんはコーヒーを飲みながらソファーに座っていた。

 彼は部屋着っぽいラフな格好をしているからちゃんと寝たんだと思う。

 でも案外早起きなんだな、と思っていると部屋に入ってきたわたしたちに気付いてニヤリと笑った。