欲するままに、その唇に食らいついた。

 全部をもらえるのがお預けになってしまったのもあって、抑えがきかない。

 何か苦しげに訴えられたが、聞いている余裕が無かった。


 欲しくて、欲しくて、だが今はまだ迎えに行けなくて……。

 仕方ないから、雪華が俺のものになる気になった場合のみ連れてくるよう眞白に伝えてあった。


 本当なら全てが終わった後で迎えに行くのが一番なんだ。

 でないと、きっと巻き込んでしまう。

 だが、それが分かっていても欲する心は止められなかった。


 18年の人生の中、唯一欲しいと思ったもの。

 それが雪華だ。


 人生をつまらないと思っていた俺に、人生の素晴らしさを語ってくるやつは沢山いた。

 だが、その誰もがいくつか素晴らしいと思うものを提示した後諦めて俺の前から去っていく。


 だって仕方ないだろう?

 提示されたものはだいたいが簡単に出来てしまうことだったり、すでに母親が用意してしまっているものだったんだ。

 それ以外の事も、全く興味が持てなかった。


 雪華もそんな一人のはずだった。

 あの日、眞白の付き添いで来た雪華は人生をつまらないと言った俺に色々なものを提示した。