息を切らして帰ってきた岸本くんと伊刈くんに颯介さんがまずは息を整えろと水を差し出す。

 わたしはその様子をもどかしい気持ちで見ていた。


 シロガネが捕まったって、どういうことなの⁉

 今すぐにでも掴みかかって聞き出したい衝動を何とか堪える。


 2人は水を一気飲みしてぷはぁ! と息を吐くと、まずは三つ子に何かを渡した。

 あれは……USBメモリー?


「まずはこれ、例のデータだ。早急に準備を進めてくれ」

『了解』

 伊刈くんの言葉に三つ子は緊張感のある真面目な声をそろえる。


 もしかして取りに行ったという一番初めのデータだろうか。


 そんな予測を立てているうちにわたしたちに向き直った2人はやっと状況を話してくれた。

「まさかあんな方法を取るとは思わなかったぜ」

「何があったんだ?」

 悪態をつくように話し始めた岸本くんの言葉を颯介さんがうながすと、伊刈くんが続きを話し始める。


「まあ、案の定すんなりデータを渡してはくれなかったから色々邪魔をされたんだが……」

 伊刈くんの話によると、キョウのいる部屋にはすんなり中に入ることが出来たけれど、いざデータを取り出そうとすると色々邪魔をされたんだそうだ。

 ウィンドウが無限に出てくるような嫌がらせや、いつ作ったのか、簡単ではあるもののウイルスを入れられそうになったりとか。