ギィ、と恐怖をあおるような音を立てて重そうなドアが開いた。

 ただでさえ薄暗くて寒いのに、こんな音までしたらもはやお化け屋敷じゃないの?

 そんな風に思いながら、わたし・梶白(かじしろ)雪華(せっか)は学園敷地内にある時計塔へと足を踏み入れた。

 ゴウン、ゴウンと大きくゆっくり揺れる振り子の音がさらに恐怖を掻き立てる。


 5年前に改装したらしいけど、それなら近づきがたい外観も何とかすればよかったのにと思わずにはいられない。

 そうすれば、わたし1人で来ることにならなかったかもしれないのに。


 恐る恐る足を進めながら、1人で来る羽目になった経緯を思い出した。