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 学園の中ではわたしは相も変わらず独りぼっち。

 流石に一年半もこの状態だから慣れてしまって、空いた時間などは読書をして過ごしている。

 ただ、昨日に引き続き今日も読書には集中出来ない。


 優姫さんの姿を見かける度ソワソワしてしまう。

 ギンの幼馴染だとは聞いたけれど、『彼のものにならないで』なんてお願いをどうしてしてきたのか……。

 眞白には誤魔化されてしまったその答えが、やっぱり気になった。


 それに、ギンの幼馴染なら彼の本当の名前も知ってるよね……?

 それを思うと、なんだか少しモヤッとするんだ……。


 自力で思い出したいから聞くつもりはないんだけれど、わたしが思い出せない間に彼女がギンの本当の名前を口にしてるんじゃないかと思うだけで小さな嫉妬心が芽生える。

 優姫さんには大好きな彼氏の金多くんがいるんだから、ギンのことは幼馴染のお兄さんくらいにしか思っていないかもしれない。

 それでも芽生える嫉妬心は消えてくれなくて……。


 聞きたいことはあっても、このモヤモヤした気持ちを吐き出したくもなくて、結局今日も優姫さんとは話すことが出来なかった。


「はぁ……」

 ため息をつきながら帰る準備をしていると、優姫さんと仲のいいクラスメイトが近づいてくる。