大好きだった彼女の目元はたまに腫れていたり、目やにが付いていた。
ガサツだった彼女だから、しっかりしろとか言いながら手で拭ってあげていた。
メイクもそんなにうまくもなくて唇も割れていたり、他人から見たらだらしないかもしれないがそれさえ可愛くて仕方かった。
彼女は親と仲が悪くよく家族の不満を言っていた。
妹は出来のいい子だからお母さんは可愛がるんだろうし、私はその分何もないしだから嫌われてるし居場所なんてないよと笑って話していたり、家に帰りたくない。と別れる際によく口に出していた。
俺は家に泊まれば?うちに住んでもいいし、キツくなったらおいでよ。と言っていた。
彼女は平気だし心配ないから!と言って笑顔で帰ることが多く自分も少しその言葉に安心して、じゃー何かあったら教えてね。と話していた。
彼女は目やにがある日は機嫌があまり良くなく、なぜかたまに寂しい顔をしていた。
その度にどうしたの?と機嫌が悪いのが自分のせいだと思いよく聞いては、大丈夫だよ!と彼女は返してくれた。
居場所は俺が作るし、結婚して幸せにするし子供できたら育てて家族なろ!と真剣に微笑みながら伝えると彼女はありがとうと口にしていた。
そんな彼女と別れた後にある本を読んでいて気付いた。
その本には、泣いてそのまま寝た。起きたら目やにが付いていてそれにさえ気づかずに1日を過ごした。と書かれていた。
それを読みわかった気がした。
自分のこと家族のこと話さないだけで悩んでいて、素直じゃない彼女はそれを伝えるのを我慢して、大丈夫だよ。と言っていたことを。
それを気付き、何とも言えない気持ちになった。
もしかしたら、ただガサツな彼女だったのかもしれないたまたまだったのかもしれない。
けれど今も好きな私は彼女に向き合えなかったと、自分に何とも言えない感情を向けた。
今は綺麗な目をしていてほしいと思った。