顔と体の傷がすっかり目立たなくなった頃、

「デート、しましょう」

律さんが誘ってくれた。

律さんが迎えに来てくれるまで、スマホにイヤホンをさして音楽を聴きながら、軽く部屋の掃除をすることにした。

お天気はいいし、好きな音楽が耳元で鳴っているし、律さんとお出かけ出来るし。

手元を動かしながら、自然と出る、ハナウタ。

掃除機を掛けていたら、玄関の横の摺りガラスの窓に人影が映っている。

こんこん。

その窓を軽く叩いているのは…

「律さん!」

玄関のドアをあけたら、

「おはようございます」

微笑む律さんが立っていた。