ー清水夏綺side

「清水夏綺警部補、少し時間いいですか?」

「大丈夫です」

重要な会議の前、資料をもって会議室に入ろうとした僕は、フルネームを呼ばれ呼び止められた

相手は4つ上の兄で、ノンフレームのメガネをかけて、7:3に分けた髪の毛をワックスで軽く固めた、どこからどう見てもお堅い役人にしか見えない人

実際そうだけど

兄の父親は警察庁の偉い立場の人で、僕の父親は今どこにいるのか知らない
ただ、自分が母親の"不倫相手の子供"だということだけは知っている

異父兄弟なだけあって、顔があまり似ていないので僕達を兄弟だと認識している人間の方が少ない