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『先輩。俺に惚れてください。』その5【お見合い望郷編】

【お見合い望郷編】」
『ありのままでそのままでいこう!』

 お見合い会場である料亭「清州」は、なんでも、創業は江戸時代まで遡るらしい。いかにもそんな歴史ある印象の渋い和風建築だった。

 案内の人に誘導され、砂利の敷かれた駐車場に車が停まると、恭しい動作の番頭さんのような人が外からドアを開けてくれた。しかしこちらは軽自動車なのでそのような貴賓客扱いはそぐわないこと甚だしい。

高科(たかしな)さんは・・・」
「いらしていますよ」

 父のやり取りで、相手の家の人たちがすでに到着していると知った。

 いよいよだ。やっぱり緊張する。

 合コンならいざ知らず、お見合いなんて初めてだから、こういう席で自分がどのように評価されるのか見当もつかない。

 ルックスだけなら大学のミスコン準優勝の実績があるのでまんざらでもない。しかし初対面で相手のご両親も同席で、どんな態度をすればいいのかわからなかった。

 まあ、何事も経験だよ。とりあえず笑顔でいようねと自分に言い聞かせる。

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