「水本亜紀です、副社長の恋人ではないですから、よろしくお願いします」

「真壁蘭子です、こちらこそよろしくお願いします」

「理樹いるよね、さっき見かけたから」

「はい、いらっしゃいます」

亜紀と社長室のドアをノックした。

「はい、どうぞ」

理樹は亜紀を僕の秘書と紹介したら、どんな顔するだろうか。

僕の想像では多分ニューヨークで二人は巡り会い恋に落ちた。

でもアクシデントで連絡が取れなくなり、亜紀は東條ホールディングスのビルまで来たと言うところだろう。

「失礼します、僕の新しい秘書を紹介しようと思って連れて来ました」

「新しい秘書?」

「水本亜紀さんです」
そう言って僕は亜紀を紹介した。

戸惑っている亜紀。

亜紀を見て固まっている理樹。

それはそうだろう、僕の秘書として紹介されたのが、ニューヨークで巡り合った女性なのだから。

「理樹、理樹」

「ああ」

「どうしたんだ固まって、いくら亜紀が魅力的だからって、僕の恋人だから弁えてくれ」