亜紀は二年付き合っていた恋人に振られてしまった。

大好きだった彼、別れることになったら泣き叫ぶと思っていた。

でも、彼から「好きな女が出来た、別れてくれ」と伝えられて、私は平常心を保ったまま「わかった」と答えていた。

涙も出ない、どう言う事?

私、彼を好きじゃなかったの?

あっさりと別れ話が終わって、彼もポカンとしていた。

それから平穏な日々が流れた。

でも、自分でも気づかないダメージを受けていたなんて、私は体調を崩しバイトも辞めた。

友達の冬美は私を心配してくれて、アパートにやって来た。

冬美は私と同じ歳だが、既に結婚してバリバリ働くキャリアウーマンだ。

唯一、冬美にないものは子供。

冬美は妊活しているが、仕事が忙しく、中々子供を授かれない。

ご主人とは絶えず喧嘩ばかりしている。

「大丈夫?あっさり別れたと思ったら、未練たらたらだったんじゃない」

「うん、そうみたい」

「死にそうだよって、呼び出したら飛んでくるかな」