【要side】



『伊月先輩のことが好きです』


もう何回、頭の中でリピートしたかわからない。

赤く染まったかわいすぎる顔で伝えてくれた優乃を思い出しては頬が緩む。


優乃が彼女、彼女か……。



「機嫌いいじゃん」


教室に戻ってすぐに七海に声をかけられた。

その表情はすべてをわかっているかのようで普段のおれならイラっとくるだろうけど、いまはなにも感じない。



「まあな」

「理由はわかってるけど。よかったね」



笑うと同時にメガネが蛍光灯に反射して不敵さが増す。

こいつにはぜんぶがお見通しでむかつく。


でも、感謝もしてる。



「さっきは助かった」

「タイミングばっちりだったね。ヒーローみたいだったよ」



そう言うとスマホをいじり始める七海。

こいつがおれに連絡をくれて優乃が絡まれていることを知った。


おれはすぐに屋上へ行っていたから、七海がいなかったら優乃の元へ行くのがもっと遅れていた。