チターゼに罵声を浴びせられたから数日、いよいよ最終試験が近付いてきている。イヅナや他のみんなもどこか気を張り詰めており、訓練兼入団試験も厳しいメニューが増えていった。

「ハアッ……今日も何とか乗り切った……」

レオナードやヴィンセントに助けられ、厳しい入団試験が今日も終わる。フラフラになりながら自室に向かっていると、「イヅナ」と背後から声をかけられた。しかし、その声はレオナードのものでも、ヴィンセントのものでも、アレンのものでもない。

「ギルベルトさん……!」

「ちょっと俺の部屋でお茶でもどう?聞きたいことがあるんだよね〜」

驚いているイヅナの手を掴み、ギルベルトは自分の部屋へと連れて行く。まだイヅナは「行く」と返事をしたわけではないのだが、最初から選択肢は一つだけだったらしい。

「さあ、入って」

「し、失礼します……」

イヅナは緊張しながらギルベルトの部屋の中に、一歩踏み入れる。部屋の中には、歴史的価値の高そうな骨董品が並んでおり、紫のぼんぼりが明かりを灯していた。

「お茶は紅茶でいいかな?おいしいガトーショコラもあるから、出してあげるね」

「いえ、お構いなく……。それより私に話というのは……」