昔々あるところに、お城のような大きなお屋敷に2人の仲の良い姉妹が住んでいました。


2歳離れた姉妹は小さな頃はいつも一緒。

ご飯を食べて、お絵描きをして、一緒に遊んで、一緒に寝る。

妹のことが大好きな姉と、姉に付きっきりの妹。



『エマ、ごめんね。今日からわたしたちは別々のお部屋なの』


『えぇどうして!!わたしもお姉ちゃんと同じ部屋にする!』


『ううん、それはできないの』



しかし姉が10歳になった頃、小さな小さな壁のようなものが姉妹の間には芽吹き始めました。

それは次第に大きくなって、そして妹が小学校高学年になる頃には。


姉とは顔を合わせるどころか、すれ違うことすらなくなって。



『エマお嬢様っ!いけません!これからドイツ語とフランス語の───』


『しーゆーあげいんっ!!』


『それは英語でございます…!!あぁもうまったく…』



姉妹の壁は取り外せないくらいに大きくなって。


姉は世間にも有名なほどに秀才。

対する妹といえば、公立高校を考えられてしまうほどでした。