「カメラが欲しい」


 高校合格のご褒美にと舞花がねだったのは、デジタル一眼レフカメラだった。

 無事高校入試を終え、合格発表を見た僕たちはその足で早速カメラを買いに行った。

 舞花はどこに行くにもそのカメラを持っていった。

 そして、行く先々の景色や、目に留まった置き物や食べ物をカメラに収めた。

 カメラを持たせて数週間経つ頃には、舞花のカメラの腕前はぐっと上がった。

 カメラについている様々な機能を駆使して撮られた写真は、どれも本物のように、時にはそれ以上に美しかった。

 今のカメラ技術に驚くばかりだ。

 それとも、舞花のカメラの腕前がいいのだろうか。


 ただ、僕にはわからないことがある。

 どうしてスマホのカメラじゃダメなんだろう。



 そして僕には、もう一つ疑問がある。