「……絶対、無理、……喋れない、」
「喋る前にどこのクラスか知らねーし」
まるで、生まれて初めての恋みたいな、この感覚。
もしかしたら今までの恋は、全部、偽物の恋だったのかなって。
私は初めて、本当の恋をしているのかなって。
おおはら、せんぱい、に……
「てかもうフワリくん見つけたときの感動ハンパなかったよね」
「ほんと、ミネがあれフワリくんじゃない?って小声で言った時のみんなの目の動きやばかったよ」
「謎のLINE集団だったしね」
「ジロジロ見ないように、みんな超演技してんの!」
想像したらやっぱり笑えた。
想像の中にはフワリくんがいて、私はやっぱり顔が火照る。
3年、何組なんだろう。
3年生の教室は4階。
1年生の教室は2階。
部活とか、やってるのかな?
運動部だから、雨で中止だったのかな。
知らないことばっかりで、胸がジリジリと焦げていく。
もっともっと、知りたい。
もっともっと、見ていたい。
交わす言葉はなにもないけど、その横顔を、もっともっと見ていたい……