「ちょっと頼りなさそうだけどね、おススメのやつがいるのよ」
「……おススメ?」
「合うと思うんだよねぇ、あんたら。なんつーのかな、空気が似てる」
「……空気」
それは一体、誰のこと……?
「私が見る限り、もう始まってると思うのよ。だってそのミサンガさー、………うわ、ヒモこんがらがっちゃった!」
先輩の手の中のミサンガが、絡まってめちゃくちゃになっている。
すごい……不器用。
「……あずりん先輩は」
「んー?うわ、もう全然取れない…」
「いないんですか?……好きな人」
聞いて……しまった。
あずりん先輩は絡まったヒモを必死にほぐす。
私の質問には答えず……必死に。
聞いちゃまずかったのかな。
「あの、」
「いるよ、一応」
「……一応?」
「でもねぇ、いいの、私の話は。どう頑張っても報われないみたいだから」
「……それって」
それってフワリくんのことですか?って、聞きたかったけど。
あずりん先輩の顔がもうなにも話したくないって顔だったから……聞けなかった。
報われないってことは……片想いってこと?
あずりん先輩の片想いだとしたら、フワリくんはあずりん先輩のことを好きじゃない?
でもあずりん先輩は、フワリくんと付き合うなんてありえないって、笑い飛ばしてた…
あれはただの強がり?
それとも本音?
なんかもう、全然分かんない……