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 千夏はホテルの別室にて陽翔を待っていた。まだ誰も座ったことが無いであろう真新しいフカフカのソファーに座り、パーティー会場での出来事を思い出していた。

 陽翔が如月グループの社長とはどういうことなんだろうか?

 どうしてハウスキーパーをしていたのか?

 どうしてうちの秘書課にやって来たのか?

 何が何だか分からず、混乱するばかりの千夏の元に、パーティーの挨拶を終えた陽翔がやって来た。髪を後ろへと撫で付け、眼鏡をかけた陽翔は、やけに大人っぽくて、千夏の胸をドキドキと高鳴らせる。

 やだ……陽翔かっこいい。

 ボーッと陽翔を見上げていると、陽翔がフッと笑いながら千夏の頭を優しくなでてくれた。その優しい手つきにホッとする。それから陽翔はゆっくりと話し出した。その声はいつもの陽翔と同じ物で、千夏をより一層安心させた。


「千夏さん、俺が如月グループの社長だってこと黙っててごめんね」

 眉を寄せ心配そうにこちらを見つめる陽翔の表情に、思わず千夏は吹き出した。

「いつもの陽翔くんだ。良かった安心した」

「ホントにごめん。今、順を追って説明するから……」