『ごめんね、向日葵』


その言葉を合図にしたように、カンヅメが明るく輝きだした。


私はその光に一瞬目を細め、それから慌てて床に置いた。


「ひま……わり」


ボンヤリと浮かび上がる、向日葵の顔。


でも、それはいつもの笑顔じゃなくて、怒っているように見える。


「泉」


「は、はいっ!?」


思わずピシッと背筋を伸ばす私。


「どうして1人で悩んでるんだ、僕はそんなに頼りない?」


怒った口調で私に聞く向日葵。


私は返事に詰まり、ただただ見つめあうしかできない。


「もっと、僕の事頼ってよ。泉のこと、色々知りたいよ……」


「向日葵……」


あまりに切なそうな顔をするから、私まで胸が締め付けられる。


止まった涙が、また流れそうになる。


「ごめんね? 本当にごめん」


謝りながらも、向日葵が消去されていなかった事に心底安堵する。


「許して欲しい?」


「うん、許してほしい」


「僕のいう事、なんでも聞く?」


「ん……? うん、聞く」