散々な目に会わされた私は教室へ戻る元気もなく、トボトボと1人帰路を歩いていた。


いや……。


正確には、2人。


『お前1人じゃ危ないだろ、送るよ』


『別に、大丈夫』


『大丈夫じゃねぇって、ほら、行くぞ』


と、半ば強引に私の腕を引っ張って歩くのは、さっきの男子。


名前を忘れていたが、太陽の下に出てホッとして、ようやく思い出した。


隣のクラスの瀬戸旭(セト アサヒ)だ。


長身でガッチリとした体系。


耳に何個も開いたピアスの穴に、チョコレート色の髪。


ガラが悪そうに見えるが、いろんな友達を持っていることから人柄がうかがえる。


「なんで……」


無言で歩くのが少し苦痛で、私は前を行く瀬戸君に話しかけた。


「なに?」


「なんで、エマは私の事を嫌うのかな」


今まで、エマに嫌われた事なんてかなった。