鼻歌を歌い、スキップをしながら部屋に戻ると、お姉ちゃんが眠そうな目をこすり、「なに?」と、くぐもった声で聞いてきた。


ついさっきまで泣いていたハズなのに、もう笑っている私。


お姉ちゃんの怪訝そうな顔は仕方がない。


「私、決めたの」


「決めた……?」


「うん! 本物の、向日葵に会いに行く!!」


その言葉に、お姉ちゃんは何度か瞬きをして、それからようや目が覚めたように私を見つめた。


「それ、本気?」


「もちろん」


大きく頷く私に、清美お姉ちゃんは真剣な表情になる。


「これって、偶然じゃないと思う。お姉ちゃんが向日葵を私に持って帰ってきたのって、なにか理由があるんじゃないの?」


前々から、どうして急にゲームなんて持って帰ってきたのか、疑問だった。


『バーチャル彼氏』にハマるたびにその疑問は薄れていって、どうでもよくなっていた。


だけど、今回は違う。


瀬戸君と、向日葵は兄弟かもしれない。