人生初の告白を経験した私は、半場放心状態のまま教室へ戻ってきていた。


その時にエマの取り巻きから何か言われたような気がしたけれど、覚えていない。


「ちょっと泉、大丈夫だったの?」


時間はすでに昼休み。


今までなにしていたんだと詰め寄る桃子。


「あ……えっと、まぁ、ちょっとね」


「なによ、その曖昧な返事は!!」


イライラしたように、桃子が怒る。


でも、あの告白を説明すると、出会いまで説明する事になって、そうしたらどういう事態になるか、だいたい予想ができる。


だから、ハッキリ何があった。


なんていえないんだ。


「向日葵に……」


「え?」


「向日葵に、似てる人がいた」


私は瀬戸君を思い出しながら、呟くように言った。


それと同時に『キス、してよ』というあの言葉も思い出す。


「それって、バーチャル彼氏のモデルになった人ってこと?」


「ん~ん。それは違うと思う。ただ、雰囲気とか、ちょっとした仕草とか――」


意地悪そうなところとか。


「へぇ、そうなんだ? で、その人に一目ぼれしちゃったってわけ?」


「へっ!? いや、なんでっ!?」