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 人の肌の体温は、どうしてこんなに心地良いのだろう。
 寝返りを打ち、私の体に長い腕を巻き付けて眠る彼の顔に、カーテンの隙間から差し込む朝陽がほんのり当たっている。

 うちのベッドはシングルだから、ふたりで寝るには狭い。
 大きなベッドに買い替えようかと考えたりもしたが、住んでいる部屋が狭い上、彼が泊まりに来るのは毎日ではないので非現実的だ。


「ん……もう朝か?」


 彼氏である利樹(としき)が目を覚ましたようで、寝ぼけながら言葉を発した。


「利樹、おはよう」

「おはよ。今何時?」


 明るく染められた利樹の長い前髪が、ふわりと私の頬にかかった。柔らかい髪質で猫みたいだ。
 なのに整えられた眉と切れ長の瞳は男らしくてカッコいい。


「もうすぐ十時かな」

「けっこう寝たな」


 利樹はけだるそうに上半身を起こし、あくびをしながら自分のスマホをチェックする。

 ほどよく筋肉の付いた広い肩幅の背中を目にし、私はその裸体にうっとりとした。