ヴー。ヴー。……ヴー。ヴー。

耳元で鳴り続けるバイブレーション。うるささに思わず顔を顰めるけど、数分も空けずに絶えず鳴り響くそれに耐えかねて、手を伸ばした。



「もしもし……なに……?」



『寝起き? お前いま何時だと思ってんの』



「お前は俺の母親?」



すみれがいなくて、いつもより広いベッドの上。

ごろんと寝返りを打って時計を見れば、時刻は10時半。……うっわ、中途半端。



『昨日サボったんだから今日は来いって。

ノアさんのカノジョとデートしてたじゃん。その惚気聞けると思って昨日楽しみにしてたのに』



「惚気どころか気分最悪だっての」




昨日は月曜だったけど、学校をサボってだらだらとしていたせいか。

今猛烈に頭が痛い。っていうか全身怠いし、ぶっちゃけ学校とか行きたくない。いまから準備しても3限は無理だし、4限からってのも、な……



「つーかお前、いま授業じゃねえの……?」



『愛しの椿くんが来ないからサボって電話』



「キモいからやめろよシイ」



お前もサボってんじゃねえか。

……ちゃんと来てる分、俺よりマシだろうけど。



『迎えに行ってあげてもいいよ』



「お断りに決まってんだろ〜」