あんなに大好きだったのに。
私は清香ちゃんのことがあって以来、「シー・ファンキーズ」の音楽を聴かないようになってしまった。
……と言っても、大人気グループの「シー・ファンキーズ」だ。
否が応でもテレビを観ていると、街を歩いていると、「シー・ファンキーズ」の音楽はどこでだって流れている。
「シー・ファンキーズ」のメンバーの写真だって見ないようにしてきた。
でも。
いつだってメンバーの誰かは、何かの広告に出ているし。
見ないでおこうと思っても、目に飛び込んでくる。
だけど。
私は極力、「シー・ファンキーズ」を避けて生活している。
「横手先生、さようならー!」
勤めている中学校。
放課後の体育館。
部活が終わって。
生徒たちが私に挨拶をして、体育館を出て行く。
「さようなら。気をつけて帰ってね」
私は去って行く生徒たちの背中に向かって返事をした。
振り返って手を振ってくれたのは、一年生の生徒だった。
私も手を振り返す。