早く来いと言うのでしかたなく追いかけて、ミヨシくんの隣に並ぶ。

ちらり、盗み見た横顔に、エレベーターで見せてくれた笑顔は少しも残っていなかった。




「わ、本田さん!?」

職員室の扉に手をかけようとしたタイミングで、担任の先生とばったりで出くわした。



「もう~なにしてたの。昼休みになったらすぐ来るように言いましたよね? 先生はお昼休みもやることがたくさんあるのに」


すみません!と急いで謝ろうとすると。


「 先生、」
と私の背後に立っていたミヨシくんがスッと前に出てきて。


──直後、先生の目に恐怖の色が浮かんだのを私は見み 逃のがさなかった。



にこ、とミヨシくんが笑いかけたことで我に返ったのか、口元に引きつった笑みをつくりながら一歩退いた。


「この子はオレがムリに引き止めてたんですよ。責めないであげてくださいね」


先生は最後まで返事をすることはなく。


「じゃあまたね、チャンるな」

ひらりと手を振ってミヨシくんが去って行ったあとも、しばらく無言で彼の背中を睨んでいるように見えた。



この学校には、REDの幹部をよく思わない人もいるみたい――。