「ああ、そういや空き部屋のルームキーは、全部三好が管理してるんだったな」

「その三好くんは今どこに?」

「クラス棟の4階だろうけど、行く必要はない」


こっちを見ろ、と視線で私を誘導する。怜悧くんの部屋の奥、左側にある扉。



「言ったろ、KINGとQUEENの部屋は繋がってるって」


そういえば言われたような……。
じゃあ今すぐ鍵を借りなくても、荷物の搬入くらいならできるのか……。



「それ貸しな。俺が運ぶ」

私からダンボールをひょいと奪って、QUEENの部屋へと向かう怜悧くん。

「あ、ありがとうございますっ」

荷物を持ってくれただけでほっぺたがゆるゆるになる。

今振り向かれたら大変だ。



「つーか荷物こんだけ?」

「そうですけど……」

「新生活に箱1個て。思い出の品とかねーの」

「うむ、特には……あっ」

「なに」


思い出した、怜悧くんと小さい頃に撮った写真、持ってきたんだった!

お母さんがケータイで撮ってくれて、プリントした写真を。