ふと力が緩められたかと思えば、背中を縦方向に、つーっとなぞられるから。



「ひぁ……っ?」

「トレーナー1枚だけ……」


「え、なんて……?」

「中、なんも着てねーの?」



そう言いながら、今度はじっくり、確かめるように指先が動く。


「ふあぁぁ、」

気の抜けた声が出たと同時、怜悧くんがなにを確かめたのか、ようやくわかった。



せ、背中に……!
ブラのとっかかりがない、から……!



「やぁ…っ」


約束したそばから突き飛ばしそうになる。



バレちゃった……!!

悲しみの涙は引っ込んで、次ににじむのは――なんだっけアレ。
生理的な、涙……?


恥ずかしいのと好きなのが合わさって、じわりじわりとにじむ。



「トレーナーの裾、うっかりめくれたら危ねえな?」


顔は見えないのに、どうしてか相手が笑ってるのがわかった。



「うっかり」と言ったくせに背中を2回なぞった手は、

そこでとどまらず──。


「きょ、町、くん……し、下はっ」


それ以上……下にいったら……っ。