「まさか、本当に付き合うことになるなんてなぁ」
「初恋は実らないって誰が言ったんだろうね」
「でもさ、りっちゃん」
「何?あ、今度の土曜日なら空いてないよ。すずちゃんとオープンキャンパスに行くから」
「聞いてねぇよ。じゃなくて、アレはないと思うぜ」


あれ?そう首を傾げる僕は、桔平に頭を叩かれる。

心当たりはあるが、別に叩かなくても良いと思う。だって、大好きな彼女が出来たのだ。見せつけて、牽制して、一人占めして、何が悪い。合法なんだからいいじゃないか。
そう主張した僕に「やりすぎなんだよ」と釘を刺してくる。



例えば、昨日の朝。早起きをしてすずちゃんを迎えに行った僕は、手を繋いで登校した。学校1の人気者のすずちゃんと学校1モテるであろう僕だ。生徒や先生からの注目が凄かったから、僕は「付き合ってるんだからいいじゃん!!」とグラウンドの中心で愛を叫んだ。

例えば、昨日の放課後。勉強を教えてと詰め寄られていたすずちゃんを後ろから抱きしめて「今から僕とデートなの!だから今日はだめ!」と教室の中心で愛を叫んだ。

例えば、今日の昼休み。進路の件で呼び出されたすずちゃんについていった。「もっとハイレベルの大学を目指さないか」と言う先生に「すずちゃんは教育学部を志願しているんです!ちなみに僕と一緒の大学に行くんです!」と職員室の中心で愛を叫んだ。