カークス様を追い掛けて寄宿学校で学び始めた時、今まで知らなかった世界を知った。

 そこは貴族も平民も同様に学ぶ事の出来る場。
 意志を持つ者は平民であろうと学んで、未来を切り開いて行く。
 中には騎士を目指している紳士も多くいた。 逆に仕方なく学ぶ者もいたし、婚約者のいない淑女は目当てがわかりやすい態度。

 私は初めて知る世界に心が震えて沸き立った。
 こんなにも世界には様々な事情や思いを持った人達がいるのか、と。

 ところが、そんな志を持った紳士の中にも眉間に皺を寄せたくなるような者もいた。
 平民を下僕のように扱うのだ。

 上級生の侯爵子息が下級生の平民を使用人のように蔑むらしいという話を聞いていたので、そんな貴族には幻滅を覚えた。
 カークス様ならそんな事を許しはしないのに。