ふざけんな。
 何なんだよあの成田ってやつ。

 キスしようとするとかありえねぇだろ!?


 美夜が隣のクラスの女子に連れて行かれたから心配で様子を見に来た。

 でも、美夜を攻撃するどころか味方になってくれそうな様子に安心して、教室に戻ろうとしたところだった。


 誰かが走って近付いて来る気配を感じて思わず植え込みに隠れる。

 こういう風に素早く動けるようになったのは吸血鬼になって良かったことの一つかな?


 走ってきたのは成田 颯。
 俺にとって一番の敵。

 美夜に近づけたくはなかったけど、美夜があいつからの告白を断るには丁度良いかも知れないと思って見守ってたんだ。


 なのに!

 美夜の言葉を信じないどころかキスしようとするとか!


 ふざけるのもたいがいにしろよ!?


 しかも美夜を賭けて勝負だ?

 美夜は賞品じゃないんだぞ!?


 だから黙ってて……でも、美夜は渡したくなくて……。

 でもそうしたらなんか勝負受けることになってしまったし……。


 あー……。
 分かってる。

 俺もちゃんとそんな勝負しないって言えれば良かったんだって。

 でも美夜以外となんてまともに会話出来てないのに、いきなりはハードル高すぎて……。