陽呂くんにつけられたキスマーク。

 鏡で見るたびに恥ずかしくて……でもちょっぴり嬉しくて。

 そんな自分にまた恥ずかしくなって。


 でもそんなキスマークも薄まって来て、むしろいつもの咬み痕の方が更新されていく。


 ひっそりと消えていくキスマーク。

 それとは真逆のように学校での騒ぎは増していった。


「いやこれほんとどうしよう」

 あたしは頭を抱えて机の一点を見つめていた。


 颯くんにお断りを言うために呼び出そうとすると。

「なーに? 逆告白?」

 なんて言われちゃうし。

 しかもそのときは颯くん教室にいなかったし。


 そんなだから呼び出しするのが恥ずかしくなって、見かけたら言おうと思ったんだけどそれはそれでなかなかチャンスがない。


 そんな風にお断り出来ないでいると、どんどん周りがあたしと颯くんを公認カップル扱いしだすし。

 そうなると陽呂くんがどんどん不機嫌になっていくし……。


 この間なんて金曜日でもないのにあたしの部屋に来て、練習だからなんて言ってキスだけして帰って行ったり……。

 あ、思い出したら顔が熱く……。


「なーに美夜? 颯くんのことでも思い出してたの?」

 あたしの様子を近くで見ていた花穂がニヤニヤからかおうとしてくる。