「ただいま帰りました〜」


 伊蕗くんと家に帰ると、おじさんが「おかえり」と出迎えを受けた。


「伊蕗も帰って来たの? 早いね」

「……あぁ」

「早く帰って来たなら手伝ってよ、もうすぐ客増えるから」


 おじさんは喫茶店を開いていて、そのお手伝いをして欲しいってことだよね……?

 でも伊蕗くんは、嫌そうな顔をして上に上がっていってしまった。


「私、手伝います」

「えっ本当? 疲れてない?」

「はい。大丈夫です」


 私はジャケットを脱ぐと腕捲りをしてから手を洗う。その後に従業員用のエプロンをつける。


「じゃあ……コーヒーまず、二人分淹れてみる?」

「はい」

「じゃあ、まずは――」


 まず、ペーパーフィルターをドリッパーに密着する様にセットする。コーヒー粉をメジャースプーン二杯をペーパーフィルターの中に入れて、お湯を注ぐ。