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 目が覚めたとき、私は白い空間が広がっていて何がなんだかわからなかった。

美空(みく)ちゃん、分かる?』

『だ、だれ……?』


 気づいたら、白の服を着た男の人がひとりに女の人がいた。


『ここは、病院よ。私は、佐倉(さくら)と言います。ここの先生よ』

『さ、くら先生……?』

『そう。美空ちゃんは、交通事故に遭ったの』


 交通事故……に遭った。

 その瞬間、私の頭の中にはトラックが突っ込んでくる映像が流れ出した。ブレーキ音と共に衝撃音が響いて、頭の中が真っ暗になる。


『お母さんとお父さんは!? 無事なんですよね?』

『お母さんとお父さんは、即死だった』


 ……そく、し?


『……死んじゃった、ってこと……?』


 それからのことは覚えていない。

 病院の人がいろんな手続きをしてくれて、葬儀は親戚の人がお金もだしてくれた。

 大好きなお母さんとお父さんが死んじゃったのに、私の目から涙は出なかった。

 ――それが中学3年の冬。中学を卒業して、すぐの頃だった。