■ 第6章 幼女薬師、存分にモフる

■ 第1話

 学校を終えて聖騎士団の本部に来たのがつい先ほどのこと。
 いつものように、まずは宿題を終わらせるために休憩室に向かって廊下を歩く。すると、廊下の突き当たり──裏口に繋がるドアの向こうから馬の嘶きが聞こえた。

(馬がいるのかな?)

 なんとなく興味が湧いて様子を見に行くと、副騎士団長のロベルトさんが自分の馬の世話をしているところだった。

「ロベルトさん! 何しているの?」
「おや、エリーちゃん。見ての通り、自分の馬の世話をしています」
「馬の世話?」

 ロベルトさんは手にしていた布きれを足下のバケツで綺麗にすすぐ。布と布を擦り合わせて汚れを落とすと、それをきつく絞り、馬を拭き始めた。

「馬の世話って自分でするんだ」

 てっきり、馬丁さんがいるのだとばかり思っていた。