翌日。


学校に入ることにちょっぴり緊張しながらいつものように教室に向かう階段を上っていたら。


フワッと甘ったるい匂いが鼻先に触れて。


「あれ?白井さん」


そんな声が、横から聞こえた。


振り向くと、思わぬ人物が口角を片方上げてニヤつきながら立っていた。


え。なんで、彼女が私に声をかけてくるんだろうか。


そこにいたのは、同じ学年の吉村愛莉さん。


去年から織くんに何回か告白しているという学年で1位2位を争う美少女だ。


後ろには吉村さんのふたりの取り巻き。


「あの……」


全然話したこともなければ接点もない人たち。そんな彼女たちに話しかけられた理由が分からずポカンとしていると。


吉村さんが、ふっと笑いながら口を開いた。


「昨日、靴ないまま、どうやって帰ったの?」


っ?!


え。
まさか……。


私に嫌がらせをしていた人って……。